すでに抱えている病気の症状や、実際に服用している薬の副作用について知りたい、あるいは受診すべき医療機関を探したい、こんなケースに直面し、インターネットで調べた経験のある人もいるでしょう。その調べた結果を有効に活用するには、健康および医療に関する情報を正しく理解した上で取捨選択し、さらに目的や手段を決定して、実行に移す必要があります。もちろん情報の収集ではインターネットに限らず、テレビや雑誌を見たり、病院や薬局に問い合わせるなど、幅広く多様なルートが存在します。
いずれにしてもこれら一連の流れをスムーズかつ的確に行うには、それにふさわしい能力が必要になります。この能力こそ、ヘルスリテラシーと呼ばれるものです。特に医療や健康に関する情報が大量かつ複雑に氾濫している情報化社会では、個人レベルでヘルスリテラシーを身につけることが重要です。これを怠ると、商業目的の不正確な情報に踊らされたり、悪意のある虚偽の情報に騙されるなど、深刻なリスクを負うことにもなりかねません。
実際にヘルスリテラシーに関する研究でも、ヘルスリテラシー意識の強い人は、迅速かつ確実に医療機関へアクセスしている、検診の受診率が高い、規則正しく服薬しているなど、日頃の健康管理に優れていることが判明しています。そして必要な情報を探す際にも、情報源の信頼性や新しさ、あるいは複数の情報との比較や商業目的のチェックなど、ヘルスリテラシーの姿勢を徹底している傾向が高いといえます。ヘルスリテラシー向上のためには、看護師による患者さんなどに対するわかりやすい情報提供などの支援も重要な役割を果たします。